支援プログラム内容
今年も埼玉県立大学作業療法学科の学生さんのリモート見学実習をお受けいたしました。 全2回、1回目は障害福祉サービスのなかの就労支援の位置づけとその中での作業療法士の生かし方について。リズムのスタッフ一人一人に自己紹介と業務内容、役割についてもお話しました。 先週実施した2回目は「アジマバッテリー」の体験講座を行いました。リモートで繋ぐ学生さんたちとリズムの利用者さんがそれぞれ油粘土で自由造形を行い、どんな視点で評価を行うのかについて説明をしたあと二人一組でお互いの作品から読み取れるものについて発表して頂きました。 さて、「アジマバッテリー Azima Battery」は私の学生時代に授業で教えられた評価法です。 けれどもその後作業療法の臨床ではほぼ目にする機会がなく、Google検索をしてもリズムの記事がトップに検索されてしまうくらい情報が少ないものでした。 今回、学生さんに説明するにあたりもう一度基本的な部分を確認しようと詳しく検索したところ、いくつかの情報と論文を見つけることが出来ました。 アジマバッテリーを開発したのは「アジマ夫妻」に間違いはなかったのですが二人ともカナダの精神医学の教授で「力動精神医学」を研究されていたこと、カナダでは(おそらく)脈々とこの評価法が受け継がれており最近の論文は2018年に出されていることなどを新たに知ることが出来ました。 入手した論文を機械翻訳にかけつつ、意味の通らない部分を原文を読んで内容を推測して文章を修正する。そんな繰り返しの中で次々と新しい情報が頭の中に入ってくる…久しぶりに私の中の「作業療法士の血」にスイッチが入った感覚でした。 天と地の開きはあるでしょうが、同じ評価法を使用し、同じものについて感じとり解釈を行っている人が遠いカナダにもいるということはうれしい驚きでした。
その過程で見つけたひとつの単語「constellations of meaning」という言葉が印象に残りました。 機械翻訳をすると「意味の星座」となります。 論文では「患者の『意味の星座』に触れるためのアジマバッテリーテスト」という文脈で使用されています。 私はこれを 「患者の描く絵、創造するもの、発言、行為(から推測される意味)は夜空に瞬く星の光のようなものであり、一見バラバラに見える星の『意味のつながり』を分析・解釈することで星と星を繫いで出来る星座のように「その人」の内的な対象関係を知る行為」 と解釈しました。 「constellation」には「集団」「配置」という意味もありますが「目には見えない形を捉える」投影的な解釈の過程を「星座を見つける」というニュアンスに含ませた方がピッタリくる翻訳のように思えました。
講義の後、学生さんたちから感想を送っていただきましたが、「意味の星座」という単語について好意的に捉えて頂いたようで一安心しました。 私が作業療法士として今までどれくらいのことを知ることが出来たのかは分かりませんが、「リズム」を開設する理由の一つに 「今まで患者さんから教えられたことを無駄にしたくない」 という思いがありました。 これから先、何を贖うことができるかは分かりませんが、学生さんと触れる機会も私にとっては貴重な経験でした。 埼玉県立大学作業療法学科の学生さんと上原准教授に深謝いたします。
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大学のリモート講義
今年も埼玉県立大学作業療法学科の学生さんのリモート見学実習をお受けいたしました。
全2回、1回目は障害福祉サービスのなかの就労支援の位置づけとその中での作業療法士の生かし方について。リズムのスタッフ一人一人に自己紹介と業務内容、役割についてもお話しました。
先週実施した2回目は「アジマバッテリー」の体験講座を行いました。リモートで繋ぐ学生さんたちとリズムの利用者さんがそれぞれ油粘土で自由造形を行い、どんな視点で評価を行うのかについて説明をしたあと二人一組でお互いの作品から読み取れるものについて発表して頂きました。
さて、「アジマバッテリー Azima Battery」は私の学生時代に授業で教えられた評価法です。
けれどもその後作業療法の臨床ではほぼ目にする機会がなく、Google検索をしてもリズムの記事がトップに検索されてしまうくらい情報が少ないものでした。
今回、学生さんに説明するにあたりもう一度基本的な部分を確認しようと詳しく検索したところ、いくつかの情報と論文を見つけることが出来ました。
アジマバッテリーを開発したのは「アジマ夫妻」に間違いはなかったのですが二人ともカナダの精神医学の教授で「力動精神医学」を研究されていたこと、カナダでは(おそらく)脈々とこの評価法が受け継がれており最近の論文は2018年に出されていることなどを新たに知ることが出来ました。
入手した論文を機械翻訳にかけつつ、意味の通らない部分を原文を読んで内容を推測して文章を修正する。そんな繰り返しの中で次々と新しい情報が頭の中に入ってくる…久しぶりに私の中の「作業療法士の血」にスイッチが入った感覚でした。
天と地の開きはあるでしょうが、同じ評価法を使用し、同じものについて感じとり解釈を行っている人が遠いカナダにもいるということはうれしい驚きでした。
その過程で見つけたひとつの単語「constellations of meaning」という言葉が印象に残りました。
機械翻訳をすると「意味の星座」となります。
論文では「患者の『意味の星座』に触れるためのアジマバッテリーテスト」という文脈で使用されています。
私はこれを
「患者の描く絵、創造するもの、発言、行為(から推測される意味)は夜空に瞬く星の光のようなものであり、一見バラバラに見える星の『意味のつながり』を分析・解釈することで星と星を繫いで出来る星座のように「その人」の内的な対象関係を知る行為」
と解釈しました。
「constellation」には「集団」「配置」という意味もありますが「目には見えない形を捉える」投影的な解釈の過程を「星座を見つける」というニュアンスに含ませた方がピッタリくる翻訳のように思えました。
講義の後、学生さんたちから感想を送っていただきましたが、「意味の星座」という単語について好意的に捉えて頂いたようで一安心しました。
私が作業療法士として今までどれくらいのことを知ることが出来たのかは分かりませんが、「リズム」を開設する理由の一つに
「今まで患者さんから教えられたことを無駄にしたくない」
という思いがありました。
これから先、何を贖うことができるかは分かりませんが、学生さんと触れる機会も私にとっては貴重な経験でした。
埼玉県立大学作業療法学科の学生さんと上原准教授に深謝いたします。